Paradise Lost、または失楽園/失われた楽園

Paradise Lostと言っても、SANEさんが大好きな英メタル・バンドではなく(いや、それもアリなんだけど)。
失楽園と言うと、渡辺さんの大ヒットした心中のヤツ?とか大概思われてしまう。
そうではなくて…


今まで、興味があっても読んだことがなかったJohn Milton作の「失楽園」。
旧約聖書の創世記をベースにした本である。

(見えにくいですね、すいません)



宗教というと、信仰云々がまず取り沙汰されるんだけど、まぁ、そっち方面はとりあえず、脇に置いて。
宗教のもう一つの側面は芸術分野における貢献(?)。仏教であろうとキリスト教であろうと、その芸術分野への影響というのは非常に大きい。黒歴史も含めて(どんな組織的宗教にはありそうなもんだけど)。
哲学、建築、文学、絵画、演劇などなど、もうありとあらゆる分野に色濃く鮮やかに影響されている。
特に旧約聖書というのは単純に物語として面白かったりもする。映画も旧約聖書をモチーフにした物が数多くある。そしてロックも、当然。
バンド名にも使われるし、"Paradise Lost"なる曲名はそれこそ沢山ある。
プログレだとAfter Crying?

メタルはそれこそ旧約聖書を使うのは大好きなんで、山のようにありそう。先にあげたParadise Lostもそう。
そういえば、現在Mike Portnoyが参加しているAvenged Sevenfoldもモロに旧約聖書からですね。「失楽園」よりはちょっと後の話からバンド名を取り上げてますが。



ということで、「失楽園」。
前半は「堕」天使ルシファーのお話がメイン。「堕」天使とはいえ、そこはやはり天使なので、もう語り口が凛々しくも雄雄しい。まるで、大河に出てくる戦国武将さながら。「堕」天使=悪魔でさえ、こうも凛々しく描かれていて、時に、「ならば人はどうだ?」とばかりに突きつけてくる場面もある。
このLucifer's Friendもヤバイ。ライブでもホルン吹いていたんだね。。。

その他にもBeelzebub(はこれが有名)とか

Mammon(Wall Streetで何かあると、これが結構出てくる)やBelialなどが戦仕度をしている様が読める。



後半はアダムとイヴがエデンを追われる様を描いている。
時折、男尊女卑的な言葉が出てくるので、女性はちょっと腹が立つかも。それでも最後には上手く埋め合わせているんだけど。。。
East of Edenはそのアダムとイヴが追放された場所を指す(映画もこれがモチーフになってましたね)。

Pain of SalvationのDaniel Gildenlowがリードヴォーカルを取るThe Flower Kingsの"Adam & Eve"。
歌詞なんて、Daniel Gildenlowあっての言葉選びに思える。hunkだのhookerだのとかpornstar、centerfoldなんて言葉はまず使わないバンドだし。




このParadise Lost散文詩という形態を取っていて、何か読むの大変そうだなぁ、って思っていたんですけど、意外と読みやすかったです。

Paradise Lostと言えば、これです。"Gothic"!!!)


因に、この「失楽園」には続編があって「復楽園」というのがある。こちらは読んでないんで、知らないです。まぁ、内容はあちこちに出ています。