Steven Wilson "Insurgentes" 再考

去年出たアルバムなのは重々承知の上で。
Y!のPorcupine Treeのトピックでも書いたんだけどね。。。
今年、(色々な意味で)最も印象に残ったアルバムがこれ。

今年だからこそ、一旦振り返っておかないといけないアルバムになってしまった。


"Insurgentes"というタイトル。
これはスペイン語表記だけど、英語だと「Insugents」となる。
前にも一度これをネタに記事にしたことがあった。
[ロック雑感:プログレってナニ?]Steven Wilson ”Insurgentes” - Food for Thoughts、Candy for Ears
「insurgents」という言葉はここ最近、雑誌や新聞に載る回数の多い単語の一つ、だと思う。
中東関係の記事が載らない日がないくらいの毎日の中で、「anti-insurgent○×」とか、必ず見る。
そういう意味では私にとっては「Insurgents」と「戦争」はリンクしてしまった単語でもある。
Steven Wilsonの意図したところではないんだろうけど、時に刻み込まれてしまったタイトル、という感じを受ける。



Steven Wilsonのソロ名義での初アルバム。それまで一人プロジェクトなどもあったけど、それらには必ずプロジェクト名があった。
多分、違いは「声」があるか、ないか。Porcupine Treeでも自身のヴォーカルをフィーチャーしているSteven Wilson。
どれだけPorcupine TreeというグループがSteven Wilsonに近く、また遠い存在か。
それは多分音楽的というよりは別のもの。
肥大化したPorcupine Treeというブランドが出来上がり、ブランドにはブランドの責任がある。それを完璧に全うしないといけない。
Steven Wilsonという人はそういうことをきっちりとやる人だし、そういう発言、行動をしてきた人だから。
だからこそのソロ名義、なのではないだろうか?


サウンドの方はPorcupine Treeとは違った質感を持った緊張感を持たせているように思える。
それが、メンバーによるものなのか、Steven Wilsonの持つ資質なのかはわからないけど。
Porcupine Treeが正しく集合体による混じり具合を持つのに対して、Insurgentesの方は個人のコントロールが強い故に密度の濃い圧迫感を持っているように聴こえるのかもしれない。
最後のInsurgentes(曲の方)はもっとエフェクトを押さえた生音でも良かった気がするのは日本人が持つ筝の音への拘り、というか馴染みから、だろうか?

そして、あの装丁。
インパクト大なデラックス仕様。
ダウンロード全盛にアートワーク込みで作品ですよ、と訴える作品は少なくなってきている昨今。
デカイ出費ではあったけど、こういう売り方もあるんだよ、という一つの提示。



そしてお約束のように出てきたリミックス集。
アートの分野では随分と前から使い古された手法ではあると思うんだけど、音楽という分野では比較的新しい目な感じだろうか。
ただ、Steven Wilsonの場合、才能の発掘的な要素もありそうで。
コラボレーター探し、Burning Shed所属アーティスト探し。
多分にA&R的な要素が大なんじゃないだろうか???





因みにinsurgent(s)でyoutubeを検索すると戦争とのリンクが判ると思う。。。