Moody Bluesの憂

The Moody Bluesと呼ぶか、Moody Bluesと呼ぶか…
それが疑問だ(最近は、こういう訳の方が多いようですぜ?)
The BeatlesBeatlesとなり
The Rolling StonesがRolling Stonesとなり
The AnimalsやThe Yardbirdsは微妙な感じだな…。



そういう訳でMoody Bluesのポジションは少し微妙だ。
デビューが64年というのも他のプログレ・バンド達とは時代背景が全く異なる。

ビート・バンドであり、第1期ブリティッシュ・インヴェンジョン組だったはずだ。

Denny Laineはこの後、Paul McCartneyと組んでWingsを始める。
06年1月にAlan ParsonsがDenny Laineを連れて来たのは驚いた。。。あれはCotton Clubのオープニング・ライブでしたっけね?




プログレを語るなら、絶対に忘れてはいけないのは、技術革新の波を抜きにしては話せない。
それはスタジオ技術であり、楽器の電化とそれに伴う進化であり、更に家庭内での音楽との接し方(つまりラジオであったり、ステレオだったりね)、であった。
そこで、これだ。

67年発表の"Days of Future Passed"。
このアルバムが発表された経緯は面白い。
当時、バンドは所属レコード会社Deccaに対して負債があった。そこで、当時、開発されていたデラミック・ステレオの普及に手を貸すように要請され、アルバムを制作することとなった。それが、ドヴォルザークの「新世界」のロック版として作られた、このアルバム。但し、この時、Moody Bluesはレーベルに対して、音楽的自由を主張、確保したのはエラかった。そしてコンセプトを持たせつつも、見事シングルヒットも獲得。


これが新加入のJustin Hayward作というのも時の悪戯だろうか?
Justin Haywardは元々Eric Burdonが出したAnimalsのギター募集の広告に応募していたのを、すでにポジションが埋まっていたので、Denny Laineの後釜を探していたMoody Bluesにその手紙を紹介して、Moody Bluesへの加入へと繋がった。この手紙がどこへ行っていたかで、色々と物事が変わっていた可能性もあるんだなぁ、と。
因にこのAnimalsのオーディションには後にJimi Hendrix Experienceに加入するNoel Reddingもギタリストとして出ている。


そして、Mike Pinder(key)の存在である。彼はメロトロンをステージで使った最初のミュージシャンと言われている。それは以前、メロトロンを制作したStreetly Electronicsで働いていたことがあって、その時の知識が、この我が侭で不安定なサンプリング・マシーンを上手くステージ上でも機能するように調整出来たらしい。また、Mike PinderがBeatlesにメロトロンを使うと良いよ、と話した結果が"Strawberry Fields Forever"らしい。
このユニークなサウンドを持つサンプリング・マシーンは瞬く間にロック・ミュージック産業の中でその地位を確立し、多くのミュージシャンや音楽ファンに愛されたのは未だにその音に魅了されている人が沢山いることからも明らかだろう。
Keith Emersonは大嫌いだったらしいけど。何となく、判る気がする…。



そして、サイケデリアの風がMoody Bluesにも。
Ray Thomas作のこの曲はLSDを推奨した心理学者Timothy Learyに捧げられている("In Search of the Lost Chord"より)。
その後もコンセプト・アルバムというプログレ神器の一つである様式を軸に活動を進めて行くが、73年に解散を発表。ツアー等をこなし、ベスト盤を出し、という一連のお決まりの流れをこなした後、ソロ活動に入る。



そんな中、多分、私が一番好きなのはこれかもしれない。大きくジャケットにクレジットされているようにAdrian Gurvitzを擁したメロディアスでブルージーサウンドが良い。これ、1曲、Ginger Bakerが叩いている曲もある。The Graeme Edge Bandは2ndも出しているんだけど、そちらは未聴。1stは随分と昔にCDを見つけたんだけどねぇ。出ないかね?紙でも良いんで。。。


そして、77年に再結成を経て、Patrick Morazが加入と何となくプログレとの接点はあるんだけど、違う気がする。
この72年から77年の間に活動が止まっていた、というのも非常にMoody Bluesの苦悩を見る思いがする。

ヴォーカル・ハーモニーを聴かせる"I'm Just a Singer"はフロント3人の叫びじゃないだろうか?



そんなMoody Blues、私が好きな曲はこれ。

06年のライブからですよ。愛すべきロックバンドである。