Gryphonの雅

先日、Disc Unionの企画(?)でSteven Wilsonが来日して、サイン会を行なった。
スケジュールの都合か何かなのだろう、ライブまでとはいかなかった。
この企画、ファンにとっては待ちに待ったPorcupine Treeの旧譜カタログの紙ジャケ化発売を記念してのもの。
こうして、バカみたいな値段で、オークションや中古を漁る必要がないのは良いことだ。



そのSteven Wilson、マニアとしても知られている。
勿論、音楽・マニア。ロック・マニアと言って良いものかどうかさえ、考えさせられる程、その守備範囲は広そう。
Jamal Rafik (therealstevenwilson) on Myspace
Steven Wilsonのmyspaceがある。
ここで、Steven Wilsonのカバー・アルバムシリーズから、"The Unquiet Grave"なる楽曲が収められている。
どっかで聴いたことがある、とウンウン唸っていたら、Gryphonの1stだった。

タイトルやこの映像から見ても判るように、この曲、所謂レクイエム。鎮魂歌。
ちょっとばかり調べてみたら、恋人を失った男が12ヶ月と1日間、ずぅっと悲しみにくれていたら、その恋人が出て来て、ずっと、そうやって悲しまれていたら、安らかに眠ることができません、と。男は、もう悲しまないから、せめてキスだけでもしておくれ、と言うと、私があなたにキスをすると、あなたも死んで、どこかへ飛ばされてしまいます。
まぁ、こういうストーリー。古今東西、こういうモチーフって変わらないですね。
Gryphonの他にもJoan BaezやBarbara Dickinson、Shirley Collinsと言った女性シンガーから、The DublinersやWeenと。非常に幅広く愛され、歌われている曲なのが判る。



さてGryphon。

ジャケットは02年に出たライブ盤"About as Curious as It can Be"。
1 Renaissance Dance Medley (3:38) (traditional)
2 Midnight Mushrumps (16:40)
3 Ethelion (6:02)
4 Wallbanger (3:01)
5 The Last Flash of Gaberdine Tailor (3:42)
6 Le Cambrioleur Est Dans Le Mouchoir (2:48)
7 Ein Klein Heldenleben (16:10)
8 Jigs (2:20) (traditional)


Richard Harvey; Recorders, Krumhorns, Keyboards, Yamaharmonium
Graeme Taylor; Guitar, Mandolin
David Oberle; Drums, Glockenspiel
Brian Gulland; Bassoon, Bass Krumhorn
Philip Nestor; Bass Guitar 1-3
Malcolm Bennett (Markovich); Bass Guitar, Flute 4-8


"The Unquiet Grave"が収めれていた1stの時点では全編アコースティック、楽曲の殆どがトラッド曲。
上のクレジットを見て判るように、リコーダーや鉄琴(グロッケンシュピール)のみならず、バスーンやクルムホルンを取入れているのが特徴か。
つまり、ルネッサンス期の楽器を使うことで、サウンドやその音楽性を特異なものにしている、と言える。
そういう意味ではプログレって言えば、やっぱり2ndの組曲"Midnight Mushrumps"か?


元々、Gryphonは、Richard Harveyによって組閣されたグループ。このRichard Harveyという人がまた凄い。
ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックを卒業後ロンドン・フィルハーモニック・オーケストラに入れるだけの実力を持ちながら、そちらには行かず、中世やルネッサンス期の音楽を演奏することにより興味があり、同じくロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックを卒業したBrian GullandとGryphonを立ち上げた。




こちらは、後のRichard Harvey。ギターは御大John Williams。
ピアソラですね。
Gordon Giltrapも外してはいけない。"Peacock Party"。